コロナ禍で一変した世界。生き方、価値観、健康観、日々のライフスタイルが一層種々多様なものになった今、いったいどのような状態が「健康」なのでしょうか?今回は、健康についての新しい概念「ウェルネス」と、その8つの切り口についてご紹介します。
今日やらなければならないことを網羅したTo Doリストを作ってみてください。きっと多くの方は、仕事関連の他に、食品の買い出しや、子どもの習い事の送迎、掃除、夕飯の支度などの家事全般をリストアップするはずです。
自分自身のことを考える時間がどんどん短くなっていく時代、日々の生活の中では、ウェルネスとセルフケアを意識して行動するよりも、後付けで考えることの方が多くなっています。常に多忙で、結果と他者への貢献とスピードが求められる時代を生きている私たちが、世界規模での健康危機の真っただ中にいて、多くの人が精神的・身体的健康の維持に不安を抱いているのも、無理のないところだと思います。さらに、休息できる時間が少なくなっていることも要因のひとつです。これまでにないほどの多種多様な生産性ツールや効率的な業務手法、単純作業を代行する機械が利用できるにも関わらず、私たちの親世代、それどころか祖父母の世代よりも、多忙を極めているのが現代に生きる私たちです。
言い換えれば、個人のウェルネスとそこから来る幸福感が、今まで以上に重要になってきています。そして、これらを手にするのが、難しくもなっています。しかし、それができれば、より幸福により健康になれることが、研究でわかっています。
ウェルネスの8つの切り口
生活にもっとウェルネスを採り入れる方法をご紹介する前に、この言葉の定義を明確にしておきましょう。ウェルネス、セルフケアなど、表現はいろいろありますが、いずれもジムに毎日通ったり、ヘルシーなランチを食べたりすることではありません。WHO(世界保健機構)によると、ウェルネスとは、「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」と定義されています。全米ウェルネス協会によれば、「ポテンシャルをフルに活用するための、意識的・自主的・発展的プロセス」とされています。
こういった定義でウェルネスを考えると、「自分の時間でやること」のリストでなく、複数の切り口を包括した意識的なプランが必要であることがわかるはずです。それでは、ウェルネスを考える際に忘れがちな8つの切り口をご紹介しましょう。
1. 感情的ウェルネス
人生に対するアプローチ法と、そこに内包される要素を指します。ポジティブさ、サポートを求め受けいれる度量、適正なバランスの達成、そして適切なゴールの設定などがこれにあたります。
2. 環境的ウェルネス
ウェルネスとは、環境に配慮することでもあります。リサイクル、迷惑メールの停止、シンプルな生活様式、車ではなく自転車による通勤などが、ここに入ります。
3. 経済的ウェルネス
請求書が溜まる一方で、自分の収入だけでは生活が成り立たない状態では、ハッピーにはなれません。支出を把握し、それに合わせた生活をしながら、お金では買えない幸福を考えてみましょう。
4. 知的ウェルネス
脳の幸福には刺激が不可欠です。物事を深く考え思考力を高める時、私たちは充足感を感じます。ですから、余暇に本を読んでみてください。または、フェイスブックだけで繋がっている知り合いでなく、実際の友人たちともコミュニケーションをとりましょう。
5. 職業的ウェルネス
誇りをもてる有意義な仕事をしましょう。ただし、健康的なワークライフバランスの大切さも忘れないでください。
6. 身体的ウェルネス
健康的な食生活を送り、もっと身体を動かし、質の良い睡眠をとってください。身体にスペアはありません。大切にしましょう。
7. 社会的ウェルネス
家族や友人、仕事関係者などと強く有意義な関係を築きましょう。そして、助けが必要な時は頼りましょう。仲間を作ってください。
8. 精神的ウェルネス
人生の意味をより深く考えてみましょう。信条や価値観を見直し、ご自分の精神的な核が何であるかを検証してみてください。瞑想など自分のための時間をとりましょう。精神性の高い人生とは、よく考えられた人生なのです。